ピジン語 ― コミュニケーションの架け橋と障壁❷

植民地化,通商交易,あるいは人々が強制収容施設に入れられるという出来事で、共通の言語がないことから来るコミュニケーション・ギャップが生じます。このギャップを埋めるために何がなされてきたでしょうか?

コミュニケーションギャップを埋めるー簡略言語

省略したバージョンの言語,つまり簡略化した形の言語を使うことによって人間はこのコミュニケーションギャップを埋めてきました。

複雑な文法を省き,単語の数も少なくして,利害の共通する分野でのみで用いました。このようにして生まれたのがよく言われる、混成語<ピジン>です。

ピジンとは?:ピジン語→クレオール語

ピジンは,省略されているとはいえ,それなりに体系だった言語です。しかし,それを生成させた必要が消滅すると,その言語も死に絶えてしまいがちです。

ピジン語がその土地の主要な言語になると,何が起きるでしょうか?

さらに多くの新しい語彙が加えられ,文法も作り直されるようになります。

こうしてピジン語は,クレオール語へと進化します。クレオール語は,ピジンの場合とは違って,ある民族の文化を表現します。

現在の世界では、英語,フランス語,ポルトガル語,スワヒリ語などを基盤にした幾十ものピジン語やクレオール語が話されています。例えば、パプアニューギニアのトク・ピシン語やバヌアツのビスラマ語など,この種の言語が一国のおもな言語となったという例もあります。

共通語<リングア・フランカ>

共通語<リングア・フランカ>も言語として架け橋の役割を担います。

リングア・フランカとは,母国語を異にする複数のグループの人々によって使われる共通言語のことです

中央アフリカ共和国では,さまざまな地方語を話す人々も,サンゴ語を使うことによって互いの意思を通わせます。

外交官の間のリングアフランカは,英語とフランス語です。

先に触れたピジン語やクレオール語もリングア・フランカとして機能する場合があります。

言語、民族に優劣はない

言語学者が言語を調べると,民族に優劣の差のないことも分かるそうです。

劣った言語というものはないのです。言語は文化や住む場所にかかわりなくすべての人に等しく与えられ、どの言語も,最初からよく整ったものであり,目的に十分かなっていました。架け橋という貴重な役割を果たしているのです。